美濃加茂事典
常闇(とこやみ)
坪内逍遙が作り、東儀鉄笛(東儀季治)が作曲した歌劇。1906(明治39)年に『早稲田文学』で発表。楽譜は同年10月に修文館から出版された。日本の創作オペラのさきがけとなった作品のひとつとして音楽史に刻まれる。文藝協会第1回公演として歌舞伎座で初演された「常闇」を津田左右吉が見に行っている。津田は「黄昏」という名で、雑誌『趣味』第1巻第7号に評論「「常闇」素人観」を発表。この論考で津田は多少の不満を漏らしつつも、日本で初めてこれ程の曲が作られたこと、オペラの上演に不向きな劇場で、楽劇の経験のない人達が演奏を実現させた苦労を思い、日本の創作オペラの今後に期待を寄せた。