美濃加茂事典
神明遺跡(しんめいいせき)
 美濃加茂市牧野字小貝戸(通称 神明サマ)に所在した遺跡。現在は、滅失。木曽川に面した低位段丘の縁辺に立地する。木曽川を目の前に、かつ南に面しており、その崖下からは湧水もあった。大正時代から出土品が知られ、地域住民によって採集されていた。1970年、周辺を含めた砂利採取事業に伴い発掘調査が実施された。調査では、竪穴住居が4棟、縄文土器、多種の石器、石製の垂飾品などがみつかっている。なかでも一部の土器群(3号住居出土)は、遺跡の名を冠して「神明式」と命名され、「中富式」と併せ、この地域の縄文時代中期後半における土器の様相を示す標識と位置づけられた。その後、高橋健太郎「神明式土器の地域相―深鉢の系統整理に向けて―」『美濃の考古学 第7号』2004年、をはじめとして、「神明式」の内容把握が近年も進められている。そのようにして現在、東海地方西部の当該期は、5期区分9段階の変遷過程として整理された。
【基本図書】『市史/通史編』p72~81
【図書資料】№334『神明遺跡発掘調査報告書』、№2796『土の中からのメッセージ―美濃加茂市の遺跡― (美濃加茂ふるさとファイル№4)』、№3501『市民のための美濃加茂の歴史』、№18035『総覧 縄文土器』
【データベース】みのかもを考古学しよう! 神明遺跡
【展示情報】企画展2004「土に残る記憶Ⅱ―縄文と弥生-」企画展2009「なつやすみ歴史探検―考古学にふれる―」