美濃加茂事典
豆腐(とうふ)
大豆を少しづつ石臼でひいて作っていた豆腐は、大変手間がかるので、年の暮れに隣近所数軒共同で作ることもあった。前日から水に浸した大豆を石臼でひくと、黄色がかった白い汁が出てくる。これを呉汁という。石臼の下に、呉汁を受けて一箇所に集める専用の箱を置き、溜まった呉汁を大鍋に入れ煮る。次に、さらし(綿手ぬぐいの生地)の袋で濾し、豆乳とおからに分ける。濾す時は、竹を半割りにし、すのこ状にしたものを大きなすし桶の上に渡した上で行う。すし桶に溜まった真っ白い豆乳ににがりを加え、少し固まったら、さらし布を敷いた豆腐箱と呼ばれる、穴のあいた専用の箱の中にすくい入れ、上からふたと重石をし、水をきって固める。出てきた水は手や顔につけ化粧水にしたり、雑巾がけをする際に使用すると床がピカピカになるといわれた。