美濃加茂事典
一ノ瀬武(いちのせたけし)
 濃飛新聞の記者。一時は加茂郡古井町に暮らした。戦後、中部日本新聞記者であった渡辺和郎とともに岐阜県下を総合する強力な文化団体を作ろうと働きかけ、1947(昭和22)年に濃飛新聞紙上で会員募集を発表、約1か月で800名の会員を集めた。同年10月下旬、日本ライン河畔で「濃飛文化会」を結成する。「濃飛文化会」の拠点は一ノ瀬がいる太田・古井地区であり、講演会や会議、文藝大会などもこの地区で行われた。こうした文化運動を通じて岡本一平とも深い交流を持ち、1949(昭和24)年に出版した一ノ瀬の著書『濃飛春秋』には「一平を焼く」を執筆している。詩人・長尾和男ともこの濃飛文化会を通じて交流があったとみえ、長尾は一ノ瀬の『続・濃飛春秋』にカットとして版画を提供している。この『続・濃飛春秋』には美濃太田駅を題材にした「美濃太田」も収録されている。
【図書資料】№3048『続 濃飛春秋 随想集』、№22093『世態人情を描く 岡本一平展』、№23149『「地方」文化のつくりびと―詩人・長尾和男と若葉文藝』
【展示情報】企画展2012「世態人情を描く 岡本一平展」企画展2021「「鉄道のまち」展 ~美濃太田駅開業から100年~」