美濃加茂事典
渡辺和郎(わたなべかずろう)
 加茂郡古井町森山(現美濃加茂市森山町)出身の新聞記者、詩人、小説家(1920~1951)。ペンネーム、香木清。古井小学校を卒業後、岐阜中学に進学した。学生時代から文学を志し、岐阜中学時代には詩人の殿岡辰雄に師事、岐阜中学の仲間や加茂農林学校(加茂農林高校の前身)に進学した古井小学校時代の同級生・大畑(前田)威らと共に、同人誌『草鞋』、同人誌『聖』を刊行する。この『聖』を通じて長尾和男と文芸上の親交を結ぶ。卒業後、名古屋で新聞記者の長谷雄京二らと中京詩人會を設立、詩文誌『栖』を編集発行。佐織(現愛知県愛西市)の詩人梶浦正之主宰の『詩文学研究会』会友、東京の同人誌『餐』の同人として活動した。その後東洋大学に進む。東京時代は作家の中村地平と親交があり影響を受けた。『文芸汎論』『思想と文学』『蝋人形』などの文芸雑誌に積極的に作品を投稿。大学中退後は岐阜の殿岡辰雄らと詩誌『詩風俗』発行、中部日本新聞社に入社し社会部記者となる。戦後間もなく殿岡辰雄に岐阜文芸連盟の立ち上げを訴え『文學雑誌 蓑座』を、同時期に総顧問格として文芸雑誌『若葉文藝』を森山から発行する。他にも詩誌『詩稿』、多治見の文芸雑誌『藝文座』にも関わった。疎開していた岡本一平と親交があり、1946年、和郎が病気療養中の折には一平は自ら見舞いに訪れた。和郎もまた、一平の記事を執筆している。一平は和郎をに小説家として将来を期待していた。『漫風』別位会員。戦後は同人誌『作家』に小説を発表している。出向先の濃飛新聞では文化欄を担当して地方文化活動のありかたを主張し、一ノ瀬武と共に「濃飛文化会」を立ち上げた。
【基本資料】『市史/通史編』p1046
【図書資料】№693『漫俳のふるさと 岡本一平の文学と絵画』、№20047『地方文化 全』、№22093『世態人情を描く 岡本一平展』、№23149『「地方」文化のつくりびと―詩人・長尾和男と若葉文藝』、No.24411「渡辺和郎の地方文芸活動について」『美濃加茂市民ミュージアム 紀要 第15集 2016」p1-10、No.31009「資料紹介 渡辺和郎文芸関係資料」『美濃加茂市民ミュージアム 紀要 第22集 2023」p75-80
【歴史資料】№18690『文學雑誌 蓑座』、№18691『若葉文藝 別冊1』、№19457『SATYA 詩文学雑誌 45』、№19465『さちや SATYA 詩文学雑誌 57長尾和男追悼号』、№19476『詩誌サチヤ SATYA 69』、№19505『詩誌サチヤ SATYA 99』、№19753『漫俳雑誌 漫風初夏号 (第9集)』、No.21113「渡辺和郎文学作品集第一号 しょうわ16年12月末? 雑稿」、No.21114「渡辺和郎文学作品集 詩作品雑稿(第二号)」、No.21115「渡辺和郎原稿 「戦争 思想 風土」、No.21116「渡辺和郎原稿 「28回(最初に傷つけた女のこと)」、No.21117「渡辺和郎ノート (創作メモ、覚書など)」、No.21121「渡辺和郎 写真資料」
【展示情報】企画展2014「「地方」文化のつくりびと―詩人・長尾和男と若葉文藝」
【関連情報】〈中央図書館〉『若葉文藝』100214824、100214832、100214840、100214857、100214865、100214873