美濃加茂事典
梅干し(うめぼし)
 昔はどの家庭でも自宅で梅を漬けていた。漬ける容器の底に塩をしき、一晩水に漬けてアク抜きをした梅と塩を交互に入れ塩漬けをする。10~14日後、赤じそを漬け込む。赤じその葉を塩でもみ、アク汁を捨て、2回目に塩もみしたしそに白梅酢(塩漬けした梅から出た水)をかけるとしそが綺麗な紫色に変わる。これを塩漬け梅の中に汁ごと入れ漬け込むと赤い梅干しができる。しそを入れても梅干しが赤くならない人を「手を嫌う」といわれた。6月に漬けた梅としそを7月の土用の頃に一度容器から出し、ざるに並べ、三日三晩、天日干しをする。これを「土用干し」と言う。干したものは再び容器に入れておく。カビの発生を防ぐためにも大量の塩が使われ、現代のものより、かなり塩辛かったのが昔の梅干しの特徴である。
【図書資料】№703『聞き書 岐阜の食事』p208、№835『美濃生活絵巻』(上)p19,28 、№850『美濃生活絵巻』(中)p78、 №8498『ふるさとの行事 美濃と飛騨』p161 、№18911『おばあちゃんちのおかって №2』