美濃加茂事典
歌川豊国(うたがわとよくに)
 坪内逍遙が研究した幕末の浮世絵師(1769~1825)。歌川豊春の門人。天明期から制作を始める。読本などの挿絵、役者の似顔絵で人気を博し、芝居絵を多数制作する。門人も多く、以後歌川派は隆盛を極めた。逍遙は歌舞伎の歴史研究のための資料として芝居絵を集めていた。大正6年には、逍遙が早稲田大学に働きかけ、収集家の小林文七所蔵の約1万5000枚の錦絵を大学が購入した。逍遙の作品と早稲田大学の作品を合わせて調査した結果、歌川豊国の芝居絵が豊富に含まれていたため、逍遙は豊国の研究に努めた。研究成果は雑誌『錦絵』などに連載、のち『芝居絵と豊国及其門下』を刊行した。
【図書資料】№1714『逍遙選集 第7巻』、№10656『初代歌川豊国役者絵展 浮世絵版画 <特別企画展>』
【展示情報】企画展2017「絵を通して見る坪内逍遙」