美濃加茂事典
蜂屋柿(はちやがき)
 美濃加茂市蜂屋町原産の渋柿。室町幕府では将軍家に献上し、文明年間中、10代将軍義稙の時、10石を寄附され、諸役を免除されたとされる。延享2(1745)年の瑞林寺所蔵の由緒書によると、関ヶ原の合戦時に墨俣にいた家康の元へ枝柿を献上したところ、大柿(大垣)が手に入り喜んだという逸話が残されている。江戸時代、蜂屋村は御菓子場に指定され、蜂屋柿が幕府に献上され、その引き換えに諸役が免除された。寛文年間が生産の最盛期で年間10万個前後が生産された。蜂屋柿は美濃の名物として全国に知られる存在で、江戸時代の各種道中記や絵図などに紹介されている。1900(明治33)年のパリ万国博と1904(明治37)のセントルイス万国博に出品されて賞を受けるなど海外でも評価された。伊藤圭介の『日本産物志』、田中芳男『有用植物図説』などにも紹介されている。戦中・戦後間もなくは生産が減少したが、地元の熱意で生産が復活され、現在は「美濃加茂市堂上蜂屋柿振興会」が伝統を守って生産が継承、登録商標「堂上蜂屋柿」の地域ブランドとして販売されている。2007年3月、イタリアに本部のあるスローフード協会が食の世界遺産とも呼ばれる「味の箱舟」に認定した。
【基本図書】『市史/通史編』p461~478、『市史/史料編』p534~588
【図書資料】№326『蜂屋の歴史』、№333『瑞林寺史』、№18814『蜂屋柿その歴史と人々展』、№25136『夕雲の城』、No.27140『瑞林寺五百年のはるかな旅展」p14No.30190「研究ノート「蜂屋柿に関する覚え書」」『美濃加茂市民ミュージアム紀要 第21集 2022』p60-70
【展示情報】2008企画展「蜂屋柿・その歴史と人々展」