美濃加茂事典
パレス・スタイル土器(ぱれす・すたいるどき)
 赤く彩色された美麗な土器。ギリシャのクレタ島から出土した「宮廷式土器」になぞらえて「パレス・スタイル土器」とも呼ばれている。弥生時代後期から古墳時代初頭にかけて濃尾平野を中心に見られ、愛知県の朝日遺跡や高蔵遺跡、岐阜県の荒尾南遺跡(大垣市)、古村遺跡(美濃市)などで多くの出土がある。土器の表面は白っぽく、直線文・波線文などを組み合わせた文様帯と赤色顔料を塗布した赤彩帯で装飾され、その洗練された流麗なプロポーションを美しく引き締めている。弥生時代後期は最も装飾が華やかな時期で、広口壺の他、小型壺、高杯、器台など多くの器種がみられる。
 美濃加茂市では、下米田町の為岡遺跡の方形周溝墓の溝などから10点のパレス・スタイル土器(壺、高坏)が出土している(発掘調査報告書による)ほか、亀淵遺跡などでも出土が見られる。

【基本図書】『市史/通史編』p138
【図書資料】№2796『土の中からのメッセージ-美濃加茂の遺跡-』(美濃加茂ふるさとファイル№4)、№3979『為岡遺跡発掘調査報告書』

【展示情報】常設展「パレススタイル土器」