美濃加茂事典
伊深温泉(いぶかおんせん)
 昭和の初めの頃、現在の伊深町上切地内で温泉が湧く話を耳にした伊深・天王に住む渡辺新一(1878~?)がその水質を検査してもらったところ、硫黄泉であることがわかった。渡辺は自宅付近が川浦川沿いで風光明媚であったため、その温泉水をパイプで送水して引き入れ1932(昭和7)年5月に温泉旅館を開業した。「蓬莱仙峡伊深温泉・雅仙楼」と称した。一時は犬山や関から直通バスが出るなど多くの観光客が訪れたが、のち廃業し本館は関の聚楽荘へ売却された。なお、渡辺は当時、氷坂(こおりざか)電気を始めており、その事務所の周辺が温泉の敷地となった。

【図書資料】№1311『写真集 明治大正昭和美濃加茂』p79