美濃加茂事典
『一読三歎 當世書生気質』(いちどくさんたん とうせいしょせいかたぎ)
 逍遙は1885(明治18)年、近代小説理論書である『小説神髄』を発行、そこで説いた江戸時代の勧善懲悪主義を否定し、人間の生活感情をありのままに描写するという理論の実践として書いた小説。1885(明治18)年から翌年にかけて発行された。19歳~23、4歳までの約10人の書生を中心として、巡る人々の明治維新後の世態、風俗、人情を写実的に描写している。逍遙はこの本の挿絵にもこだわった。この本の読者であった岐阜県出身の洋画家・長原孝太郎が挿絵を描きたいと逍遙に申し出たところ、逍遙は自ら下絵を描いて長原に指図した。しかし浮世絵の読み本が一般的だった当時の読者には、長原の絵が新しすぎたとして、結果として長原の挿絵は3回で終了した。
【図書資料】№1491 『坪内逍遙事典』p258~260、№1729『当世書世気質(新選 名著複刻全集 近代文学館/明治18年の復刻版)』、№17247『情熱の人 坪内逍遙』p12、№27146『美濃加茂市民ミュージアム紀要 第18集 2019』p27,28
【歴史資料】№2362『一読三歎当世書生気質(明治文学名著全集)』、№2384『一読三歎 当世書生気質(復刻版)』、№2426『坪内逍遙・會津八一(図録)』、№2956『一読三嘆 当世書生気質(晩青堂版)』、№13299『當世書生気質』、№13311『一讀三歎 當世書生氣質』
【展示情報】企画展2004「情熱の人・坪内逍遙展」企画展2017「美濃加茂市・早稲田大学文化交流事業 10周年記念共催展 絵を通して見る坪内逍遙」