美濃加茂事典
山椿の歌(やまつばきのうた)
 坪内逍遙が故郷・太田にある祐泉寺に「山椿さけるを見ればいにしえを幼きときを神の代をおもふ」「この木の実ふりにし事ししのばれて山椿花いとなつかしも」という山椿の歌を書いた色紙を送った。この字を彫った山椿の歌の歌碑が現在も祐泉寺に立っている。
 この歌を作った当初、1首目の「いにしへを」の部分は「ふるさとを」として書いていた。送った色紙の間違いに気づいた逍遙は、元々の「ふるさとを」に直して欲しいと手紙を送るが、訂正されないまま歌は彫られた。2首目は「木の実ふりっこ」という遊びを思い出して詠んだ歌で、山椿は逍遙にとって楽しい幼時の思い出をよみがえらせてくれるモチーフだったと分かる。これらの歌は、逍遙の友人で歌の師であった歌人・會津八一も賞賛した。

【基本図書】『市史/通史編』p974
【図書資料】№2802『山椿逍遙(美濃加茂ふるさとファイル№6)』、№3501『市民のための美濃加茂の歴史』巻頭部,92、№17247『情熱の人 坪内逍遙』p28
【歴史資料】№2923『坪内逍遙 會津八一 往復書簡』p90~93
【展示情報】企画展2004「情熱の人・坪内逍遙展」、、企画展2020「美濃加茂市・早稲田大学文化交流事業 墨伝う思い 書を通して知る文人・坪内逍遙」