美濃加茂事典
星宮神社(ほしのみやじんじゃ)
 美濃加茂市伊深町字追洞に鎮座する神社で、もとは伊深村の村社であった。祭神は天思兼命(あめのおもひかねのみこと)を祭るとされる。神社には杉の大木が鬱蒼と茂って昼も暗く、空に星影が見えたので「星宮」の名を得たと伝えられる。関の新長谷寺の末寺である長渓山宝生寺(ほうしょうじ)が、かつては神社の西隣にあって星宮神社を管理していた。宝生寺は明治に廃寺になったが、観音堂(弘法堂)は現在も残っている。祭礼はかつて上切地区と大洞地区の屋形が渡御し獅子舞を奉納したが、今は行われていない。
 神社の拝殿には、「福満堂」の額が掛かり「紫雲鉄牛書」の署名がある。紫雲鉄牛(しうんてつぎゅう)とは江戸時代の黄檗宗の僧侶と思われる。裏面には「願主 江戸牛込大久保 山崎沢右衛門 昔天明元年丑二月日」と記されている。同じく拝殿には、日本画壇の巨匠・竹内栖鳳の内弟子で伊深・大洞出身の日本画家・大矢峻嶺(1892?1967)が描いた富士の絵が掛けられている。峻嶺は花鳥画や風景画を得意とし、1943(昭和18)年に奉納した。年月が経ち色は褪せているが、山肌の青色は鮮やかで雲海から姿を現す富士の描写は神々しく雄大な作品である。
【基本図書】『市史/民俗編』p373
【図書資料】No.30187『バス停からの小さな旅』
【データベース】〈これまで調査してきたこと〉「広報みのかも特集記事」「バス停からの小さな旅」