美濃加茂事典
岡本綺堂(おかもときどう)
 1872(明治5)年、東京に生まれる。坪内逍遙と同時代の演劇界で活躍した劇作家であり、小説家である。幼少期、英国大使館勤務の父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。演劇改良運動に刺戟を受けて戯曲や小説などの執筆し、世話物や喜劇、怪談を多数執筆した。大正末期には怪談を集めた『綺堂読物集』(全5巻、春陽堂)を出版した。1916年、逍遙が『新演芸』脚本募集の選者になった時、綺堂の門下の額田福六の作を入選としたため、綺堂が額田に挨拶状を持たせて逍遙の元へ礼に行かせたという逸話がある。1939(昭和14)年没。また、逍遙大賞受賞者の白石加代子が朗読劇「百物語」の中で、綺堂の「父の怪談」(20話)、「影を踏まれた女」(21話)、「蛇精」(59話)を取り上げている。
【図書情報】№1491『坪内逍遙事典』、№8488『岡本綺堂・小山内薫・眞山青果集 日本現代文学全集 34』