美濃加茂事典
万尺寺(まんしゃくじ)
 美濃加茂市太田町にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は恵昌山。美濃三十三観音、中部四十九薬師霊場、中濃八十八カ所の札所に数えられる。寺伝によれば、正治年間(1199~1201)、畠山重忠が天台宗の七堂伽藍を備えた大寺院として字城房の地に創建されたという。その後、兵火により全焼したため、文明3 (1473) 年、現在地に移転し規模を縮小して再建された。寛文8(1667)年に実性和尚により、妙心寺派に転宗している。元禄5 (1692) 年に火災に遭い、同7年に仮本堂を建てたが、現在の建物は昭和50(1975)年に再建したものである。本尊は聖観音であるが、阿弥陀如来や薬師如来のほか、子胎地蔵や福寿稲荷などが祀られている。また、境内には鎌倉~南北朝期と推定される五輪塔が複数あり、うち3基に胎蔵界真言の五大種子を表す梵字が刻まれている。正徳5(1715)年に、白隠はこの地を訪れ、陳首座により修行にふさわしい地として山之上村の岩滝山を勧められている(『壁生草』)。
【基本図書】『市史/民俗編』p393、『市史/史料編』p929
【図書資料】№2775『旧中山道太田宿調査報告2(町並)』、No.20258『美濃の白隠(美濃加茂ふるさとファイルNo.15)』、№22321『中山道太田宿に生きた人々』