美濃加茂事典
芳春寺(ほうしゅんじ)
 美濃加茂市深田町にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号を河北山という。寺伝によれば天正13(1595)年5月に成立で、長く平僧地として僧格の無い人が入っていた。開山には関山慧玄11世の法孫、伝法和尚を仰いでいる。本尊は薬師如来。寛政2(1790)年の棟札がある薬師堂は、新西国十五番札所である。寺の前には「にらみ地蔵」といわれる地蔵菩薩像や、寛延4(1751)年の三界万霊塔、寛政10(1798)年の馬頭観音などの石造物がある。また室町前期~中期の作と思われる五輪塔があり、地輪には「開山立峰」と刻まれているという。立峰はこの寺の創建以前の人物と考えられるため、天正年間(1573~1592)までこのあたりにあったとされる妙楽寺という寺のものが、廃寺とともに芳春寺に寄せられた可能性がある。
【基本図書】『市史/通史編』p293、『市史/民俗編』p395,396,457,458
【図書資料】No.13『美濃加茂の石仏』、№2775『旧中山道太田宿調査報告2(町並)』