美濃加茂事典
霊泉寺(れいせんじ)
 美濃加茂市中富町にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は井竜山。開基は大法義法。本尊は十一面観音で、本像は南北朝時代の作風を示す市内では比較的古い仏像である。寺宝としては、「鑵子の図」をはじめとした白隠筆の書跡が数幅伝わる。境内の石庭をはさんで百体あまりの石仏がならんでいるが、西国三十三カ所、坂東三十三カ所、秩父三十四カ所を合わせたいわゆる百観音。そのうち江戸時代末期の作とされる一体は「後ろ向き観音」と呼ばれ、石に抱きつくように背中を見せる非常に珍しいものである。同寺墓地には、逆マンジを刻む寛永期頃造立の将棋駒型墓碑がある。また元禄期以前の作とみられる延命地蔵菩薩立像がある。伝承としては、室町時代後期にこの寺の近くに住んでいたという田島伊予守という武将の「馬のり石」にまつわる話が伝わるが、伊予守の墓は現在も霊泉寺に残っている。
【基本図書】『市史/民俗編』p396,454,455
【図書資料】No.13『美濃加茂の石仏』、No.3501『市民のための美濃加茂の歴史』p105、No.30187「バス旅からの小さな旅」
【歴史資料】No.4699「古井霊泉寺御札等一括」、