美濃加茂事典
禅隆寺(ぜんりゅうじ)
美濃加茂市本郷町にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は竜渓山。もとは蜂屋の瑞林寺の末寺であったが、開基は賢庵養公となっている。寺伝によれば野寺山願興寺という天台宗の廃寺を瑞林寺の仁済が開山したという。斎藤妙椿の女、聖隆尼が住持となった東濃の禅隆尼寺はこの寺であるというが、寺には聖隆尼に関する位牌、墓石などは全く見当たらない。永禄3(1560)年に兵火に焼かれ、天正年間(1573~1592)に再興されたと伝えられる。もとは山際にあったが、明治19(1886)年に再び全焼し、川合地区の檀徒の要望もあり現在の場所に移転した。本尊はもともと聖観音であったが、享保14(1729)年に新たに釈迦如来の像を刻んで本尊とすることを、尾張の寺社奉行に願い出て、観音は観音堂に祀った。この観音は17年ごとに開扉する開帳仏である。石造物としては、供養塔一基、地蔵菩薩、南北朝期の五輪塔一基、そのほか天台系の石仏がある。