美濃加茂事典
恵那山(えなさん)
 中津川市(岐阜県)と阿智村(長野県)の境にまたがる美濃地方の最高峰。その山容は古くから人々に親しまれ、「覆舟山(ふせふなやま)」、「横長嶽(よこながだけ)」など様々な名称で呼ばれてきた。晴れた日には美濃加茂市各所から西方に望むことができ、特に木曽川緑地ライン公園などからは太田橋越しにその雄大な姿を拝むことができる。日本最古の歴史書『古事記』にも登場するこの山は信仰の対象でもあり、天照大神の胞衣(えな=へその緒や胎盤などのこと)を埋めた地という伝承から、「胞衣山」とも表される。山頂には神社があり、明治・大正時代にかけては「恵那講」の流行により、修験者に限らず庶民層も白装束を纏って登拝した。『岐蘇路安見絵図』(1756(宝暦6)年)の落合宿の頁や「細見美濃国絵図」(1834(天保5)年)には、山の姿とともに恵那山を示す文字が書きこまれ、当時から人々に強く認識された山であったことがわかる。
【図書資料】№896『恵那山をめぐる歴史と伝説』
【歴史資料】№10625「岐蘇路安見絵図」、№10624「美濃国大繪図 内題:細見美濃国絵圖」