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すきなものをすきなように 坂井範一展


《裸婦》油彩、画布 美濃加茂市民ミュージアム蔵
《裸婦》油彩、画布 美濃加茂市民ミュージアム蔵
 
《竹》紙本着色、鉄 個人蔵
《竹》紙本着色、鉄 個人蔵
 
《嘉久雛》顔料、木 個人蔵
《嘉久雛》顔料、木 個人蔵

 美濃加茂市蜂屋町出身の坂井範一(1899〜1981年)は、新制作派協会に所属し、戦後岐阜市を拠点に作家として、また教育者として様々な活動を展開しました。現在では主に洋画家として知られている坂井ですが、色と形をテーマとした油彩を制作し展覧会へ出品するほか、デザインの仕事や大学での造形教育にも携わるなど、幅広く「ものづくり」を愛してやまない美術家でもありました。

 平面では、鵜飼や長良橋といった岐阜の情景や自然、線と面の色彩が力強いコントラストで描かれた竹や渓流、卓上静物、更には日本の古典文学を題材とした豊かな世界を描き出しました。その一方ではモダンなデザインの包装紙、本の装丁、キツネや雛をかたどった小さな立体作品なども手がけました。坂井の手によって形となった様々な「もの」には今も斬新さとユーモアが感じられます。

 坂井がこうした「ものづくり」に凝りだしたのは、昭和20年代からと伝えられています。この時期の坂井は若い画学生を集めて「J.P.R」という「画塾」を立ち上げ、絵画の指導にあたり始めており、後に岐阜大学の教授となり後進の育成に力を注いだ坂井の原点ともいえる教育活動を始めた時期と言う事ができます。また、平面の制作でも「竹」をモチーフとした大作に取り掛かり、新たな境地へと踏み出す転換期でもあります。この展覧会は、美術を通して岐阜における文化の核でありつづけた坂井範一の画業を、昭和20年代を端緒として今一度見つめ直すものです。油彩、デザイン、立体から小物まで、坂井が手がけた様々な作品を展覧いたします。

 そしてまた、坂井の「ものづくり」への関心を表すエピソードのひとつとして、イサム・ノグチとの交流をノグチの作品とともに紹介します。1951年、光の彫刻を作りたいと考えていたイサム・ノグチは坂井をたよりにして日本での滞在中に岐阜へやってきます。坂井のそばで滞在したイサム・ノグチは職人とともに制作に励み、それまでの提灯には見られなかった型破りなかたちの「あかり」を産み出します。この展覧会の中で、イサムの「あかり」と関連資料を共に展示いたします。

 範一は「すきなものを、すきなように、自分にあわせてやることは、一番やさしいことのようであるが、むつかしいことである」と述べています。生涯にわたって「ものづくり」に向き合い、様々な人と関わり続けた坂井範一の、創作と画業を様々なエピソードを交えて紹介します。力強さと鮮烈さとを兼ね備えたモダンな作品の数々を産み出した坂井範一の世界をご理解いただければ幸いです。

会期 2010年1月30日(土曜日)〜3月22日(月曜日、振替休日)
休館日 2月1日(月曜日)、8日(月曜日)、 15日(月曜日)、22日(月曜日)、23日(火曜日)、3月1日(月曜日)、8日(月曜日)、 15日(月曜日)
時間 9時00分〜17時00分
会場 美濃加茂市民ミュージアム 企画展示室・美術工芸展示室
観覧料 一般 200円(高校生以下は無料)


関連企画
名称 アートな1日講座「嘉久雛をつくろう」
日時 20010(平成22)年1月31日(日曜日)13時00分〜16時00分
内容 展示室で坂井範一さんが制作した四角い雛人形「嘉久雛」をみて、自分だけのお雛さまをすきなようにつくってみましょう。
*参加料には展覧会観覧料を含みます。
申し込み方法 当日12時30分から受付
会場 みのかも文化の森 エントランスホール
参加料 500円
定員 20名

名称 ミュージアムフォーラム「坂井範一先生のこと」
日時 2010(平成22)年2月11日(木曜日・祝日)14時00分〜15時30分
内容 昭和20年代に坂井範一が開いた画塾J.P.Rの核となった弟子の一人・萩野喜弘氏に、絵描きとしての坂井範一の制作活動についてお話いただきます。
申し込み方法 当日13時30分から受付
会場 みのかも文化の森 研修室
参加料 無料
定員 42名

名称 ビデオ上映会+ギャラリートーク
日時 2010(平成22)年2月7日(日曜日) 14時00分〜15時30分
2010(平成22)年2月27日(土曜日)14時00分〜15時30分
内容 展覧会に関連するVTRを鑑賞した後、当館学芸員が展覧会場をご案内します。
申し込み方法 当日12時30分から受付
会場 みのかも文化の森 みどりのホール
参加料 200円 *企画展観覧料です。
定員 各回120名

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