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「地方」文化のつくりびと―詩人・長尾和男と若葉文藝―


「地方」文化のつくりびと―詩人・長尾和男と若葉文藝―

 長尾和男(1902〜1982年)は、詩人として知られる作家です。詩作を始め、22歳で入学した東洋大学で、仲間と共に詩誌『白山詩人』を刊行します。在学中に萩原朔太郎の序文と野口米次郎の序詩を収めた詩集『隠沼』を発行した長尾は、将来を期待される詩人のひとりでした。
 大学を卒業後、長尾は古井町(現美濃加茂市)に住み、加茂農林学校(現加茂農林高等学校)で国語教師となります。新聞小説の連載などの文筆活動を続けながら、長尾は木彫部と文芸部の顧問となり、指導にあたります。この頃、詩や小説を書いていた学生たちと出会います。
 戦中期には台湾で農業学校の教諭をしながら小説や詩を書き続けた長尾は帰国後、再び美濃加茂に戻ります。戦後の古井町では、長尾の教え子らによって文芸誌『若葉文藝』が発行されていました。長尾は顧問として『若葉文藝』の活動に加わり、文芸の振興に力を注ぎます。そしてこの仲間と共に同人誌『詩稿』を創刊しました。『詩稿』は東京で発行されていた詩誌『日輪』と合併し、『SATYA』(さちあ)へと発展します。
 美濃加茂の文芸運動の核となった長尾の関心は、詩作に留まりませんでした。加茂農林時代、農閑期の生産物として制作指導した木彫品は、宮内省買上となりました。長尾の美術的な関心は自身の手掛ける書物にも表れ、自作の版画を装丁やカットに用いました。更に文学研究者としての一面もあり、美濃地方の狂俳、万葉歌、萩原朔太郎や井伏鱒二をテーマとした論文を執筆しています。
 美濃加茂市立中央図書館では、遺族から寄贈された蔵書を「長尾文庫」として保存しています。長尾文庫からは『若葉文藝』や『SATYA』を含めこの地域で出版された詩誌や詩集を、当館の所蔵品からは長尾の原稿類や加茂農林学校木彫部の木彫などを展覧します。更に、長尾が交流した作家の資料として、萩原朔太郎が書いた『隠沼』序文の原稿や井伏鱒二の長尾に宛てた書簡などを併せて紹介します。
 本展はこのように、長尾が手掛けた多彩な創作の軌跡を紹介するものです。詩、美術、文学史など多面的な文化運動を展開し、育て続けた長尾和男の足跡をたどりながら、この地に根付いた文化の歴史を今一度、捉え直します。


会期 2015(平成27)年2月14日(土曜日)〜3月22日(日曜日)
時間 午前9時−午後5時
会場 美濃加茂市民ミュージアム企画展示室
休館日 月曜日
観覧料 無料
主催 美濃加茂市民ミュージアム



名称スペシャルミュージアムトーク
日付2015年2月21日(土曜日)
時間14:00〜15:00(当日30分前から受付)
内容現在の『SATYA』 の同人である篠田康彦氏を迎えて、長尾和男とSATYAの活動についてお話しいただきます。
会場企画展示室
聴講料無料


名称アートな1日講座「版画でブックカバー」
日付2015年2月22日(日曜日)
時間13:00〜16:00 (当日30分前から受付)
内容詩人・長尾和男が手掛けていた版画を見ながら、本を飾る版画を刷ってブックカバーをつくりましょう。
会場工芸室
参加料500円
定員10名


名称ミュージアムトーク
日付3月8日(日曜日)
時間各日11:00〜、14:00〜
内容当館学芸員が展示室をご案内いたします。
会場企画展示室
聴講料無料


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