美濃加茂事典
ヤリガンナ(やりがんな)
 槍の反った穂先のような刃に柄を付けた鉋(かんな)。中世の末に台鉋(だいがんな)が出現するまで広く用いられた。突くようにして木材を削り、平面に仕上げていくもので、当時描かれた絵巻物からもその様子を知ることができる。弥生から古墳時代の副葬品として出土する金属製品も「ヤリガンナ」と称するが、文房具あるいは比較的小ぶりな加工具であり、本格的大工道具としての使用ではない。
 1997年、美濃加茂市蜂屋町の尾崎遺跡(みのかも文化の森敷地内)から出土したヤリガンナはその形状や大きさから、大工道具として使用されたものとみられる。その出土状況から8世紀後半~10世紀頃と推定されている。本格的な大工道具としては全国初かつ最古の出土例であり、考古学上・建築史学上、重要な意味を持つものである。
【図書資料】№10541『尾崎遺跡発掘調査報告書』p27,82,169、 №10549発掘された尾崎遺跡展 -この地に人が残したもの-』p17
【展示情報】企画展2002「発掘された尾崎遺跡展」常設展「ヤリガンナ」