美濃加茂市の指定文化財
旧太田脇本陣林家住宅 追加指定(隠居家)(きゅうおおたわきほんじんはやしけじゅうたく)
区分: 国重要文化財
種別・種目: 建造物
時代: 明和6(1769)年
大きさ:
所在地: 太田本町
所有者(管理者): 個人
指定年月日: 1971年(昭和46年12月28日)
2000年(平成12年5月25日)
解説
 美濃加茂市太田本町は中山道の太田宿として開けた町です。旧家である林家は、初代市左衛門が現在地に屋敷を構えて以来、庄屋を務め、幕末には脇本陣を務めました。
 旧太田脇本陣林家住宅の主家は家族の生活空間にあたる居室部と、公用通行者の宿泊・休憩施設にあたる座敷部からなり、街道の南側に北面して建ちます。建築は、居室が明和6(1769)年、座敷部が安永2(1773)年頃に建てられたと考えられています。現存する脇本陣は少なく大変貴重なもので、切妻の両端に設けられる立派な“うだつ”はこの家の権威と格式を示しています。
  • 太田宿…日本橋から数えて52番目の中山道の宿場。
  • 脇本陣…江戸時代の宿場に設置された本陣の予備的施設。
関連データ
1.「旧太田脇本陣林家住宅」について

 「旧太田脇本陣林家住宅」は、江戸時代に中山道51番目の宿場である太田宿の脇本陣として機能していました。創建年代は、主屋のうだつの鬼瓦に銘が記されていることから、明和6年(1769年)と判明しました。
 林家は江戸中期、脇本陣を勤めるかたわら庄屋として尾張藩太田代官の指揮下で宿の行政事務を取り、また、家業として質屋や味噌・溜の製造販売も営んでいた旧家です。 最盛期には、東西25間の間口、土蔵9棟、馬屋3棟、離れ座敷などを持つ壮大な構えでした。
 昭和46年に主屋・表門・質倉(しちぐら)・借物倉(かりものぐら)が国重要文化財に指定され、続いて平成12年に、隠居家(いんきょや)・附便所・附井戸屋・附塀5棟・宅地などが追加指定されました。江戸時代を中心に建設された建物群がまとまって残っており、大規模商家の屋敷構えを伝える数少ない貴重な遺構です。
 「隠居家」は、最初に建てられた時期は不明です。現在の建物は、文政12年(1829年)の家相図に基づいて修復されています。創建以来たび重なる水害や虫害を受け、建物の他に塀や石積が崩れるなど全体に痛みが激しい状態でした。そこで、平成13年度に隠居家・附塀などの調査を行い、平成14年度から平成17年度まで、国庫補助事業として修理が進められました。建物は一列三室型の町屋形式ですが、室内の数寄屋風(すきやふう)の造作に隠居家らしい趣があります。
 なお、林家では「隠居家」という名称は使用しておらず、通称として「西(にし)」と称していました。使用方法は、主屋の座敷に対して、奥座敷的な存在でした。
旧太田脇本陣林家住宅全景


2.一般公開について(隠居家)

 見学については、追加指定された隠居家部分について、次のように公開しております。なお、主屋部分については、現在も住宅として使用されているため、通常は公開されておりません。

○場所 美濃加茂市太田本町3丁目地内
○開館時間 9時から16時まで
○休館日 月曜日(祝日の場合は火曜日) 年末年始
○入場料 無料
○問い合せ みのかも文化の森 電話 0574-28-111
旧太田脇本陣林家住宅隠居家
旧太田脇本陣林家住宅隠居家座敷部分
旧太田脇本陣林家住宅隠居家座敷部分