美濃加茂事典
天神神社[蜂屋町](てんじんじんじゃ)
 美濃加茂市蜂屋町下蜂屋の志水にある神社。口碑によれば菅原道真を祀るといい、後醍醐天皇が行幸の時に字森本というところで休息された際、当社の旧記や社号を奏上したところ、大いに喜ばれて勅願所にされたという。中世には多くの武将の信仰があったようで、正中2(1325)年、千町宮内左衛門大江公頼、応永23(1416)年、可児郡久々利の城主土岐河内守、文明14(1482)年、土岐美濃守の家来加納七郎左衛門、永正5(1508)年、蜂屋の領主岸彦八郎、弘治2(1556)年、加治田の城主佐藤紀伊の神、天正13(1585)年、可児郡兼山の城主森武蔵守の家来細野左近が、それぞれ社殿を造営(再建)したという記録がある。今の本社は天正13年、舞殿と拝殿は明治25(1892)年にそれぞれ再建されたものである。獅子頭2頭が伝わるが、1頭は「長享弐年」(1488年)の銘を持ち、もう1頭は安土桃山時代頃ごろと推定されるもので、それぞれ市の有形文化財に指定されている。鳥居の脇には、平成17(2005)年に建てられた江戸時代の蜂屋の俳人・堀部魯九の句碑がある。美濃派の俳句集『藪の華』に記載された蜂屋柿が主題の句で、川合良樹氏の筆致で書き表されている。
【基本図書】『市史/通史編』p294、『市史/史料編』p958~961、『市史/民俗編』p361,362
【図書資料】No.3501『市民のための美濃加茂の歴史』p108、No.30187「バス停からの小さな旅」