美濃加茂事典
獅子頭(ししがしら)
獅子頭とは、獅子舞などの行事に用いる木製の獅子の頭を模した作り物のこと。6世紀半ばに伎楽とともに大陸から渡来したと考えられ、古来より除疫の聖獣とされた獅子の擬装擬態のために多くの獅子頭が作られてきた。美濃加茂市蜂屋町・天神神社には中世に遡る2頭の獅子頭が伝わる。1頭は、歯の外面と目を白く塗り、くちびると耳の内側を朱色にするほか、外側全体を漆仕上げにしている。また、額の所に宝珠を打ち出す。欅造りと非常に重く、獅子を舞う人の労力が偲ばれる。この頬の部分の内側左右に墨書があり、長享2(1488)年に制作され、正保5(1648)年に修理したものと推察できる。制作年代が確定できる点で価値が高く、室町中期の作風を知る上で貴重な資料です。もう1頭は、檜造りで、布を貼った上に漆を塗っており、軽くできている。内面全体とくちびるを朱色に、歯と目を金泥で塗っている。色彩と作風から、制作時期は安土桃山時代頃かと推測される。それぞれ、平成7(1995)年に市有形文化財に指定された。