趣旨 |
1899年(明治32)、加茂郡蜂屋村(現美濃加茂市蜂屋町)に生まれ、この地域の美術界に多大な功績を残した、洋画家・坂井範一(1899〜1981)に焦点をあてるととともに、坂井範一ゆかりの作家たちをあわせて紹介するものです。
1936年(昭和11)、美術家の画壇政治的な動きを嫌い、純粋な芸術運動をすすめようと洋画壇の新興勢力として新制作派協会は、美術界の注目を浴び組織されました。
その第1回展で、「浴後」「裸婦」が新作家賞を受けた坂井範一は、第5回展において会員となり、その後、新制作協会を足場に活躍を続け、生涯を通して前向きに色と形を追求しました。
戦争を機に岐阜を拠点として、多くの後進の指導に力を入れるなど、この地方の美術界をリードする役割を果たし続けました。
この地域において、坂井は数多くの作家に影響を与えています。
加藤金一郎(1921〜1997)は、自然の情景を大胆な色と線の造形におきかえ、多くの作品を残しました。
絶えず人間や社会を鋭く見つめ、シンプルなフォルムで表現する丹羽和子(1924〜)。
風景を幻影のようにとらえ、簡潔な色面を構成する成田真澄(1923〜)。
有機性のある形態により、一種官能的な世界を作り出す神谷幸子(1929〜)。
自然の深奥を見つめ、豊かな感性で静謐な画境を開く御宿正司(1930〜)。
「写真」という手段で新境地を開拓し、国際的にも評価を得ている小本章(1935〜)。
これらの作家は、芸術と真剣に向き合い、自然や人工物を飽くことなく観察し、冒険を試みています。
|