美濃加茂事典
竹田尚史(たけだひさし)
 1976(昭和51)年、愛知県に生まれる。自然界の質量や重力に着目し、立体作品や写真、インスタレーションなどの多様な表現を展開する作家。当館の森を舞台に作家たちが各々に、新たな表現の実験を行う企画「みのかもannual」に初期から参加しているメンバーの一人でもある。物理的な関心を持ち、はかりや時計といった数字を司る道具を素材として用いる。それらの表示値を変えたり、物体を解体したり、別の物質に置き換えて提示することで、モチーフは重力や質量、時間を示す数値から解かれた状態で現実の中に浮遊する不可思議な存在と化す。固定概念から放たれるような機知に富む作品群は現実と背中合わせの仮想の世界を立ち上げる。2019(令和元)年に「芸術と自然」をテーマとする現代美術レジデンスプログラムで滞在制作と発表を行う。初期から続けている自分自身の身体と同等の質量を森で探して空気や水などに変換することを試み、展示室と森の中で展開した。