蜂屋・瑞林寺に伝わる涅槃図で、開創された文明年間と同時期の室町時代後期の作とされています。涅槃図とは釈迦の最期を描いたもので、涅槃会^※という儀式に用いられるものです。釈迦は右手を枕として宝台に横たわり、沙羅双樹は高く茂り、右上方には釈迦の母である摩耶夫人(まやぶにん)一行が描かれます。一方、周囲には多数の菩薩や天部、王、大臣、俗形などが参集し、釈迦の入滅を悲しんでいます。また人ばかりでなく象、獅子、虎をはじめとした動物たちまでもが嘆き悲しむ様子を克明に描いています。
　仏涅槃図は鎌倉時代以降、広く流布し、そのかたちも形式化してきましたが、本図もそのような仏画の一つといえます。一部に折れもみられますが、現状は保存についてはなんら問題なく、当時の様相を伝えています。