美濃加茂事典
円空作木造馬頭観音菩薩立像(えんくうさくもくぞうばとうかんのんぼさつりゅうぞう)
 頭上に馬の頭を表す馬頭観音の円空仏。美濃加茂市三和町中廿屋の観音洞円空窟(市記念物)の巨岩の上に小さな祠があり、この像はその中にひっそりと祀られていたといわれます。観音洞の祠の棟札には寛文11(1671)年の春、愛馬を弔うため造られたとあり、その制作年代が推定できる。この窟の前の小道はかつて東濃の神淵へと通じていた山道だったことから、この馬頭観音は街道交通の安全を願う「道祖神」の役割を持っていた可能性も考えられる。円空作の馬頭観音像は数少なく、県内で確認されているのは、ほかに2体のみとなっているため貴重な遺例である。豊かな頬にこぼれるような笑顔をたたえ、永年岩上にあって静かに村人を見守ってきた秘仏の清々しさが感じられる立像である。全体的にはやや硬さを感じさせるが、「円空微笑」ともいうべき表情は、この時すでに彼の作風が確立していたことを示している。平成元(1989)年、市有形文化財に指定。現在は美濃加茂市民ミユージアムに寄託。
【図書資料】№18『美濃加茂の文化財―改訂版―』、No.3501『市民のための美濃加茂の歴史』p113、№16081『美濃加茂市民ミュージアム紀要 第5集 2006』 杉浦綾子「加茂の円空仏について」、№17951『みのかもの円空仏 改訂版』(美濃加茂ふるさとファイル№12)、No.30187「バス停からの小さな旅」
【データベース】「美濃加茂市の文化財」指定文化財一覧 円空作木造馬頭観音菩薩立像(市指定)、「これまで調査してきたこと」広報みのかも特集記事2 ふるさと紹介73 史料と地名からみた地区の歴史(28)三和(二)